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脳科学と教育

科目
脳科学と教育
区分
教育学専攻
授業コード
4400015
開講期
曜日・時限
集中
単位数
2単位
担当者名
大森 隆司、丹治 順、塚田 稔
授業の概要
教育は高度に心理的に技能である。しかし一方で脳科学の視点からの情報的解釈では、脳における高度の学習過程を誘導する、高度のインタラクションとも言える。心理的な世界と脳の世界のあいだにはまだ溝があるが、最近の脳関連の諸科学はそれを埋める大きな進歩を遂げている。その成果は、多様な学習の場面での特性と、その障害により発生する現象の深い理解につながりつつある。本講義は、教育と学習にかかわる最新の脳科学の知見を紹介し、実際の教育現場における方法につなぐ努力について議論する。
到達目標
脳科学の成果として流布される多様な情報について、その真偽をある程度の根拠を持って判断できる程度の、脳科学についての基礎的な知識を与える。また、発達・障害についての最近の研究動向を知る。
授業計画
テーマ
内容
第1回目
脳科学概論【講義】 脳科学の最新動向を学習するための目標、特にこころ、行動決定と脳の関係について説明し、学習の脳過程としての理解について解説する。〔大森隆司〕
第2回目
脳における学習についての基礎的概念【講義】 神経細胞と回路について解説し、そこでの学習と記憶現象の関係、さらに記憶器官としての海馬とその障害について解説する。〔大森隆司〕
第3回目
脳はどこまでわかっている【講義】 1980年頃の認知革命と多重知性理論について解説する。またテキストの導入および、脳の発達・発育に関わる知見を紹介する。〔大森隆司〕
第4回目
数の概念の獲得と脳【講義】 幼児の言葉と数の学習に関わる脳科学的な知見、数学のための脳の特性などを紹介する。〔大森隆司〕
第5回目
読み書きの脳とその障害【講義】 読み書きは学習の基盤となる技能であるが、そのための脳の特性の理解は難読症などの障害のより深い理解につながる。〔大森隆司〕
第6回目
社会的能力の発達と障害【講義】 社会的能力や自己の情動の制御は人間社会を構成する主要な要素である。その障害を脳科学はどのように説明するのだろうか?〔大森隆司〕
第7回目
高齢化と学習と記憶【講義】 記憶や学習は高齢化と共に衰えるが、実際には成人の脳は高い可塑性を保持している。脳科学から見た学習と記憶の実際について述べる。〔大森隆司〕
第8回目
運動と行動決定の脳過程【講義】我々の運動や行動は脳における意思決定の結果であり、脳の前半分、特に前頭葉の機能とされている。行動と脳のシステム的関係について解説する。〔丹治 順〕
第9回目
学習と記憶の神経回路【講義】脳の局所回路における学習について、最新の研究の成果を紹介し、その研究の流れと動向について解説する。〔塚田 稔〕
第10回目
幼児の言語獲得の戦略学習【講義】幼児は語彙獲得バイアスという学習方略により、すばやい語彙学習を実現している。そのメカニズムの理解のための研究を紹介する。〔大森隆司〕
第11回目
他者理解のモデル【講義】他者行動の理解は社会的な活動の基盤であるが、その脳科学的メカニズムは不明である。その解明のためのモデル研究について紹介する。〔大森隆司〕
第12回目
他人がいることの影響【講義】我々は他者の存在により、自己の行動を制御する。その制御とはどのようなものか、何を意味するのか、最新の研究成果から議論する。〔大森隆司〕
第13回目
自閉症の理解【講義】自閉症は発達障害の典型例である。その症状とメカニズムに関する最新の議論の知識は、現場での対応や治療に影響を及ぼす。〔大森隆司〕
第14回目
統合失調症の理解【講義】統合失調症のメカニズムに関する最新の脳科学の研究の成果を紹介し、現場での対応や治療の可能性について議論する。〔大森隆司〕
第15回目
まとめと質疑【講義】脳科学の成果はそのままでは使えないことが多い。有意義なものもあるのでそれをどう活かすことができるのか、その可能性を議論する。〔大森隆司〕

使用テキスト
特になし
参考文献
ブレイクモア、フリス 著:乾 他訳 「脳の学習力」、岩波書店 2006
成績評価方法
ディスカッションへの参加、調査報告、レポートで評価する。

更新日:
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