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教育哲学研究I

科目
教育哲学研究I
区分
教育学専攻
授業コード
4410017
開講期
曜日・時限
集中
単位数
2単位
担当者名
高橋 勝
授業の概要
情報とメディアの時代といわれる現代の人間形成において、「経験」とはいかなる意味を有するのか。この問題を、主にドイツの教育人間学の方法を紹介しながら考えていきたい。「経験」には、①他者との直接の関わり合いやモノの操作などの「身体的経験」(五感による経験)と、②記号、画像などの情報を媒介にして新しい世界を知る「バーチャルな経験」(視聴覚中心の経験)とがある。この二つの「経験」を比較した場合、現代は、「身体的経験」に比べて「バーチャルな経験」の比率が極大化した時代といえる。「身体的経験」と「バーチャルな経験」の質の違いを具体的に比較検証しながら、人間形成や学校教育において「経験」が有する根源的意味を考察する。
到達目標
経験、他者、出会い、学び、関わり合い、自己変成(メタモルフォーゼ)などの教育人間学のキーワードを駆使して、子ども、青年、そして大人の自己形成(=物語形成)のプロセスを説明できる力を身に付けさせる。
授業計画
テーマ
内容
第1回目
人間形成と経験 人間形成において経験とはいかなる意味を有するのか。現代の教育哲学から、この問題にアプローチする。
第2回目
身体的経験とバーチャルな経験 他者と関わり合い、事物を操作するという身体的経験と、記号やメディアによって構築された世界を知る経験の違いは何か。
第3回目
身体的経験と他者 思うようにならない、自己の外部に生きる他者と関わり合うことの意味
第4回目
身体的経験と事物 リアリティ(reality)の成立根拠を考える
第5回目
身体的経験と言語  ある出来事を「経験」として意味づける言語=制度を考える
第6回目
A.ゲーレンにおける経験  制度化された世界における負担軽減機能としての経験
第7回目
E.フッサールにおける経験 言語化=制度化される以前の純粋経験
第8回目
M.ハイデガーにおける経験 制度によって隠されていた存在が顕わになる経験
第9回目
〈異界への旅〉としての経験社会的、制度的に構築された「この現実」の彼方にある「もう一つの現実」を開く経験
第10回目
経験と体験「経験」と「体験」の意味の違いを考察する。
第11回目
新しい世界との出会い他者、異文化、異世界と出会うことの人間形成的意味を考える。
第12回目
経験のメタモルフォーゼ人が、様々な意味での外部と出会う経験を通して、自己変成を遂げていくプロセスを解読する。
第13回目
子どもの自己形成空間子どもの成長にとって重要な経験世界とは何かを考える。
第14回目
経験の空間としての学校子どもが、文化、他者、未知の世界と出会い、かかわり合う「経験の空間」として、学校を捉え直す。
第15回目
まとめ

使用テキスト
高橋勝『経験のメタモルフォーゼ ――〈自己変成〉の教育人間学』(勁草書房)
参考文献
Ch.ヴルフ(高橋勝監訳)『教育人間学入門』玉川大学出版部。高橋勝『文化変容のなかの子ども』(東信堂)/『情報・消費社会と子ども』(明治図書)
成績評価方法
出席率とレポートによって、総合評価する。

更新日:01/04/2009
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