授業計画 | テーマ | 内容 | 学習課題 |
第1回目 | イントロダクション コントの19世紀 | 社会学は19世紀に生み出された学問である。この時代は近代化と産業化がヨーロッパ全域に、そしてアメリカ大陸にまで広がる時代である。つまり、世界の構造的変化が生じた時代である。この時代の変化を捉え、新しい学問の基礎をつくったのがフランスのオーギュスト・コントであった。彼が新しい時代をどのように見ていたのか、そしてその意義について講義する。 | 指定教科書を十分に読み込んでほしい。
授業は二部構成になっている。第一部がシラバスに準じた講義(全体の3分の2)。第二部が資料を利用し、現代社会の様々な現象を読み解く社会学的理解の実践である(全体の3分の1)。第二部については、身近な話題を取りあげる予定である。 |
第2回目 | 主権国家論 | 現在われわれが当然のことと考えている国家のあり方は、17世紀のヨーロッパにおいて生み出されたものといえる。特に30年戦争終結におけるウエストファリア条約には、近代国民国家の理念が影響をあたえている。思想的背景には、トマス・ホッブスによる社会契約論がある。これらについて解説し、近代的な主権国家、社会契約論の考え方を講義する。 | 指定教科書を読んでおくこと。
あるテーマを与えるので、そのテーマに合わせた新聞や雑誌記事、テレビをチェックしておくこと。記事についてはコピーを用意してもらいたい。 |
第3回目 | 産業革命と資本主義 | 人々はものを交換する。多くの人々がいる社会では効率的にものの交換をするために市場を形成し、その延長線上に都市が生み出される。この互酬的な交換システムは時代や地域を問わない普遍的な現象である。しかし、近代の資本制社会とはこの市場の普遍化を果たすような運動である。そこで、産業革命と資本主義社会による人々のつながりの変化について講義する。 | 同上 |
第4回目 | 近代化/世俗化 | 近代社会の特徴にはいろいろある。ここではマックス・ウエーバーやエミール・デュルケームの社会学理論を取りあげ、近代の特徴を取りあげていく。両者の社会学は社会を考察する起点を宗教現象にするところに共通点がある。近代社会は呪術や宗教などの非合理的なものを退ける。宗教的なものが弱体化すること、同時に聖なるものの現代的な様相について講義する。 | 同上 |
第5回目 | 国民の形成と群衆 | 国家や国民もまた近代社会のひとつの顔である。われわれが当然とする国家観や国民像は決して普遍的なものではない。実際は現象として特殊性を抱えている。そこで国民国家論の背景、マス・メディアが果たした役割を解説する。また、都市に現れた異質で、無知粗暴な人間である群衆という現象について解説する。その上で大衆という近代社会の人間像について講義する。 | 同上 |
第6回目 | フォーディズム/大量生産システム | 20世紀の産業化は大衆に商品を供給し続けてきた。商品の生産は、フレデリック・テーラーによる科学的管理法による効率的な生産を最良モデルとした。しかし、この方法にも限界があり、フォーディズムといわれる大量生産システムが成功を勝ち取る。これにより、大衆が自動車を享受することができるようになる。しかし、この方法にもまた限界が訪れる。これらの経緯について講義する。 | 同上 |
第7回目 | 消費化社会の到来 | フォーディズムは同一品質の安価な商品の大量生産への信仰を持っていた。しかし。このシステムでは消費には自ずと限界が生じる。消費化とは、無限の需要創出を志向する。そこで消費化に関する社会学理論を紹介し、これに適応する人間像を描いたデビッド・リースマンの『孤独な群衆』について、現代的な意義を含めて講義する。 | 同上 |
第8回目 | 情報化社会論 | 社会学において、消費化と共に注目されたのが情報化である。情報技術による新しい社会像は、1960年代にはじまり、現在のインターネットやデジタルメディアに続いている。そこで、ダニエル・ベル、マクルーハンなどのメディア論を紹介しつつ、情報化がもたらす社会のあり方について解説する。その上で情報化論/メディア論の有効性と限界について講義する。 | 同上 |
第9回目 | 文化の拡大 | かつて文化は社会学における周辺的テーマでしかなかったが、徐々に中心的なテーマとなりつつある。ここでは、文化について考察するためにカルチュラル・スタディーズやポストモダン文化論を紹介し、文化的なものが広がるその背景について解説を施す。現代社会における、文化のあり方に目を向ける視角を得るための講義を行う。 | 同上 |
第10回目 | 環境問題 | 近代化は社会の合理化過程であったが、皮肉にも合理化の貫徹は非合理的なものを生み出してしまった。それは核の脅威であったり、過剰な競争を自動化する新自由主義的な経済思想である。そして、環境問題もそのひとつであり、地球規模の危機であると信じられている。しかしながら、冷静に地球と環境の問題を見ると、異なる実態が見えてくる。この問題について講義する。 | 同上 |
第11回目 | 家族の変容 | 恋愛結婚が結婚の当然の形であると信じてはいないだろうか。しかし、歴史的に見て、恋愛結婚は近代において発生したのではないだろうか。また、主婦という生産活動と隔絶した領域で活動する人間像もまた、近代において生み出されたものである。ここでは家族や性、恋愛などについて、社会学がどのように考えるのか講義する。 | 同上 |
第12回目 | リスク社会論 | 現代社会はいかにリスクを回避するかという欲望に突き動かされている社会である。20年ほど前なら病院にいくこともなかったのに、ちょっとした怪我で、すぐ病院に駆け込むのは、その怪我がもとで感染症など他の病気へと繋がることを回避するがゆえである。結果、社会全体の医療費は増大する。リスクを回避することによって矛盾が生じる。このような現代社会のありようについて解説する。 | 同上 |
第13回目 | グローバル化 | グローバル化という言葉が現代社会を理解するキーワードとなっている。それは、近代化の進展による経済統合が20世紀後半にほぼ完成したからである。これは国民国家を超えた地球規模での同時的な社会的変化とされ、肯定的に捉えられる。しかし、ことはそう単純ではない。「ローカルのグローバル化」「ローカルのグローバル化」という複雑な問題を孕んでいる。この問題に関して解説する。 | 同上 |
第14回目 | まとめ | これまでの講義を補足することにする予備日としておく。 | 同上 |
第15回目 | 試験 | 指定教科書、講義内容に即した試験を実施する。 | 特にない |