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文化人類学

科目
文化人類学
区分
人間学科科目群
授業コード
5101014
開設セメスター
2S
曜日・時限
秋 月/56
単位数
2単位
担当者名
實川 真理子
授業の概要
「同化」・「啓蒙」、「植民地支配」など、言葉は色々あるが、人類学者は、「We」、すなわち西欧列強による「ヒトがヒトを搾取する営み」を手助けしてきたという、甚だ恥ずかしい歴史をもっている。その恥ずかしい歴史を反省しこれを教訓として、文化人類学は、ヒトが自分とちょっと違うヒトを、「違うけれど同じ」と、対等にしかし違いに尊敬を持って、付合っていく可能性を模索している。
 この授業では、反省も含めて文化人類学の過去2世紀の歩みを振返り、その歴史の上に現在の文化人類学がどのような学問となってきたのか、を考えながら、古典とよばれる研究やEthnographyを読んでいく。特に次の2点を念頭に置く:
 (ア) 文化の相対性、即ち、文化(cultures, 複数形)の違いは決して優劣や進化の程度を示すものではなく、個々がそのままに尊敬・尊重されるべき存在であるとする、文化相対主義
 (イ) 自らを取り巻く「文化環境」の自然化(Naturalization、自然であると思い込むこと)のプロセスを明らかにして、「われわれにとっての自明と思われる世界のあり方を括弧にくるんで、もう一度その正当性のメカニズム、秩序の成り立ちを考える」(田中雅一、1991:228)。異なる文化やその根底にある価値システムなどを知ることによって、「違うことも可能」だと成員が知ることから、「当たり前」「常識」を見直し、より生きやすい社会を目指すきっかけを提供する。
到達目標
21世紀にはいって、人類は地球の悲鳴を聞きながら暮らすはめに陥ってしまった。これを打破するためには、暮らし方を変えるしかないのだが、これが難しい。私たち今生きている世代が受けている地球の恩恵を、次の世代、そして将来の世代も同じように享有できるように配慮して持続可能性を増すために、わたしたちは「自分から自由になる」ことを試みなければならない。文化人類学の学問の歴史から人間のおろかさと英知を、そして文化人類学の手法から、常識から自分を自由にする方法を学んで欲しい。
授業計画
テーマ
内容
学習課題
第1回目
イントロダクション
春学期第1回は4月11日土曜日です。
授業の進め方、基本文献と語彙などの説明
今日の文化の多様性は、地理環境と歴史の相互作用の上にあるので、高校までに学習した地理と世界史を振り返ります。
高校時代の地理と世界史の教科書を再読してきてください。これらの科目を選択していなかった履修生が多ければ少し丁寧に時間をかけるので、事前に申し出てください。Blackboardにアクセスできるか確認してきてください。
第2回目
世界史と地理の復習
「見るもの」と「見られるもの」の出会い
地理・環境・歴史が現在の生活にどのように表象されているかをみます。
15分間のビデオをみて、Bbの文献をもとに小クイズを行います。文献を読んでいないとクイズに答えられないので注意してください。
Bbに掲載されている旧約聖書「創世記」と米山俊直「文化人類学を学ぶということ」を読んでくる
授業中またはBlackboardで指示
第3回目
文化人類学を学ぶということ
「常識」を疑う
ニッポンを疑う
第2回のクイズの解題
自分の日常生活でやっていることをいったん判断停止して、なぜ?という問いかけをしてみよう
授業中またはBlackboardで指示
第4回目
フィールドワークという方法について 今日の文化人類学の方法論的アイデンティティといわれるフィールドワークについて、この方法が生まれた歴史的経緯と可能性について授業中またはBlackboardで指示
映画ガイダンスを授業の最後に配布するので次回までに必ず読んできてください
第5回目
フィールドワーク 観察1 文化交流の現場(フィールド)にでて実践を通して学びたいが、時間的制約を考慮して、異民族交流の映画視聴をもって、現場実践に代える。映画のガイダンスを読んできてください
第6回目
フィールドワーク 観察2 文化交流の現場(フィールド)にでて実践を通して学びたいが、時間的制約を考慮して、異民族交流の映画視聴をもって、現場実践に代える。観察結果を2000字前後(A4用紙2から3枚)にまとめて、期日までにBlackboardの課題欄から送信・提出してください。
第7回目
フィールドワークから 1 映画の要所を振り返りながら提出された履修生のフィールドワークの講評と、文化人類学で問題となっている部分を検討する。文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第8回目
フィールドワークから 2映画の要所を振り返りながら提出された履修生のフィールドワークの講評と、文化人類学で問題となっている部分を検討する。文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第9回目
フィールドワークから 3映画の要所を振り返りながら提出された履修生のフィールドワークの講評と、文化人類学で問題となっている部分を検討する。文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第10回目
文化人類学の理論と方法1
Theological Anthropology、世界観・信仰と科学
文化の多様性について、なぜ違うことが可能なのか、そもそもその違いは何に由来するのか、は人類を悩ませ続けてきた問題です。なぜ違うのか、について研究してきた歴史を振り返ります。まずユダヤ教、キリスト教、イスラム教というヘブライニズムの一神教に共通する「天地創造」から、近代(モダニティ)を作り上げた西欧の思想の根源を振り返ります。ガリレイやダーウィンなど、中高の理科で学んだ科学者の業績について、キリスト教神学の理解を踏まえて考えます。文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第11回目
文化人類学の理論と方法2
文化進化論:生物の多様性から文化の一系性をひねり出す「文明」人
神から解放されて科学と産業革命の恩恵を受けた西欧の人々は、帝国主義政策をとって奴隷貿易と植民地収奪を計るが、人類学者は何をしていたのだろうか。文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第12回目
文化人類学の理論と方法3
文化伝播論・文化相対主義
「文化」人類学の誕生文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第13回目
文化人類学の理論と方法4
20世紀前半
機能主義・構造機能主義・構造主義・象徴論と境界人文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第14回目
文化人類学の理論と方法5
20世紀後半
同質性の政治・「らしさ」とエッセンシャリズム、他者の客体化とオリエンタリズム、正統性と伝統の創造(捏造)、想像の共同体、集団帰属とハイブリディティ(異種混交体)など文献(配布またはBlackboard)を読んでくる
第15回目
21世紀の文化人類学
Making strange familiar & familar strange
ことばとモノ(定義と実在の)関係
他者理解と共生、持続可能性について、今日の文化人類学について考える
文献(配布またはBlackboard)を読んでくる

教科書
Blackboardに必要な文献を適宜掲載、特に重要なものは授業中にプリントとして配布する。
参考文献
綾部 恒雄(編)よくわかる文化人類学 ミネルヴァ書房 2006年
綾部 恒雄(編)文化人類学20の理論 弘文堂 2006年
山下 晋司 (編)文化人類学キーワード 改訂版 (有斐閣双書) 2008年
波平 恵美子(編)文化人類学―カレッジ版 医学書院 2002年
成績評価方法
期末試験、宿題、小クイズ、フィールドワークの総合評価。
そのほか受講者への指示/メッセージ
日常生活の中であなたが「自然化された」行動をとっていませんか?自分も含め身の回りで何が起こっているのか、五感をフルに使って観察しましょう。
連絡がある場合はBlackboardのアナウンスで行います。緊急の連絡がある場合は、履修生の玉川大学のEmailアカウント(***@lits.tamagawa.ac.jp)にメール送信しますので、定期的にチェックする習慣をつけておいて下さい。


更新日:02/20/2009
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