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園芸植物学

科目
園芸植物学
区分
生物資源学科科目群
授業コード
53016
開設セメスター
2S
曜日・時限
秋 月/56
単位数
2単位
担当者名
田淵 俊人
授業の概要
本講義では、花、野菜(ハーブを含む)、果樹などの
園芸植物を扱った学問を学びます。これらの作物は、一般の農作物とは違って集約的な栽培技術が必要ですし(非常に手間をかけて作る)、生産物は加工されてジュースや漬物にされます。したがって、そういう植物があることを知る必要があります。また、園芸植物には非常に「特殊なニーズ」があります。それは、近年のガーデニング・ブームやストレス社会に応えるべく心の癒しの効果(ヒーリング)、健康ブームによる機能性としての役割(体内に入って機能する成分のこと)、室内に快適な緑の空間を作り心を癒すととに、人体に悪影響を及ぼす物質を、園芸植物を使って除去するファイトレメディエーション、地球環境は温暖化し砂漠化、塩害が生じて大きな問題になっていますが、それらの問題がどうして起こったか知り、園芸植物を使って解決しようとする方法を考える、など非常に広範囲な分野が世界的に要求されています。さらに、遺伝資源の問題があります。現在、地球上で野生種の植物が次々と絶滅しています。これらの植物は貴重な遺伝資源ですが、その機能を知る前に絶滅している現状をふまえて、これらを保護していく意義を考えたいとも考えています。

本講義では、現代社会における時代のニーズに合わせた講義をリアルタイムで展開したいので、栽培技術、育種、機能性、環境問題など、さまざまなテーマから論じることにしたいです。そこで、本講義は、以下のようにシラバスを作成し、2年次に学ぶ「植物生理学」
を基礎学問として位置づけて、本講義は応用的としてみてください。
園芸植物を知って興味を持ち、学力をつける方法を学んでください。
到達目標
到達の目標は、さまざまな園芸植物を知ること、分類、起源、遺伝資源としての機能、栽培方法、環境問題を幅広い分野から学び、暗記するばかりでなく創造力(応用力)を高めていくことができる「きっかけ」を作ることを目標とします。園芸植物を通して植物への関心を高めて欲しいと思います。
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
園芸学の由来と語源 まずはイントロダクションです。園芸の語源、由来、多様性と発達の歴史について学びます。由来、扱う学問分野、分類、語源、などのイントロダクションを行います。まずは気軽に入っていきましょう。ゲーテのクラインガルテンとは?Horticultureとは?園芸植物の持つ特殊性などを理解しましょう。
第2回目
園芸植物の分類 花、果樹、野菜の植物学的な分類方法、園芸的な分類方法について講義します。園芸植物の生活環(1年草と多年草などについて、など)学名、リンネの命名法について理解しておいてください。園芸植物の分類方法については、本学農学部のオフィシャルサイトー農学部ー植物機能開発科学領域ー私のHPに入り、必要に応じてコピーをしてください。
第3回目
鑑賞園芸(1):花を使った鑑賞園芸について 花の分類方法、繁殖方法などを講義します。
花の繁殖方法にはどのようなものがあるか?-種子、栄養繁殖によるもの(クローン)などについて詳述します。
HPの研究テーマ02「花菖蒲」の項目をコピーして読み、理解しておいてください。
第4回目
鑑賞園芸(2):花を使った鑑賞園芸について 花の園芸―観賞価値と文化とのつながりを講義します。江戸の植物、特に「花菖蒲」を含めて話をします。HPの研究テーマ02「花菖蒲」の項目をコピーして読み、理解しておいてください。Bbにも随時、学会で発表した最新論文などを掲載しますから、コピーをして理解しておいてください。
第5回目
鑑賞園芸(3):花を使った鑑賞園芸について 前回に引き続き,特に「花菖蒲」を含めて話をしますが,関連して様々な花の例を取り上げます。江戸系、肥後系・・・など園芸の世界に独特な分類がたくさんあることを講義します。同時に遺伝資源としての、野生種の植物、例えば野生のノハナショウブで発見された「青いノハナショウブ」と「八重咲きノハナショウブ」などを紹介し、これらの植物が栽培する園芸植物になることの(品種改良される場合を含む)意義についても解説します。園芸植物の分類は非常に複雑で、花では特に分類方法が複雑なので、混乱しないようにしっかりと理解してください。アヤメ、カキツバタ、花菖蒲の区別の仕方とは?花菖蒲はどうやってできたか?江戸時代以前の花菖蒲は何であったか?あやめ文化とは?など、順不同ですが、上記に関連する部分を各自でコピーしておいてください。できるだけ、花に親しんで欲しいと思います。関連する内容は、HPをよくよく見てください。花の各器官の出来方、植物の形態形成については「野菜園芸学」p.15-20を参照してください。
第6回目
野菜園芸(1):野菜とは? 野菜の分類(食べる部位による分類など)、原産地とは?遺伝子中心説とは?など、分類方法などを中心にして野菜に関する講義をします。特に、トマトを中心にして講義をしますが、他の野菜についても教科書を参照してください。本学にて保存している貴重な野生種のトマトも紹介します。・トマトの原産地はどこですか?他の野菜でも「野菜園芸学」で調べておいてください.本学で保存している野生種のトマトを持参して話をします。これらの遺伝資源としての有用性についても理解しましょう。教科書「野菜園芸学」p.20-26 田淵のHPの研究テーマ01ートマトの魅力と機能を探るーを参考にして勉強してください。
第7回目
野菜園芸(2):加工用野菜、加工用トマトについて 野菜の利用方法は、そのまま食する「生食用」とジュースや浸けものなどの「加工用」に用いる場合があります。ここでは、私の専門の一つである加工用トマトについて詳述します。栽培方法の違いや、品種、作型についても詳述します。前回に引き続き、HPや「野菜園芸学」を読んで理解を深めてください。
第8回目
野菜園芸(3):野菜の有する色、成分についてー機能性食品とは?野菜の「色」はつい数年前まではただの「着色物」としか思われていませんでした。しかし、「緑黄色野菜」と称して体内で「さまざまな機能=身体に有用な作用をする=活性酸素を除去する」効果が認められてきて以来、単に色は添え物的ではなく「健康食品」としてもブームをよんでいます。本講義では、野菜の有する機能性について講義します。野菜の色について、理解を深めたいと思います。野生種の中には、栽培品種にない機能性成分を持つものがありますので、遺伝資源としての「野生種」の有用性についても言及しますので、HPや「野菜園芸学」で理解をしてください。「野菜園芸学」の教科書では、機能性の部分(15章)、トマトの章(2章)、ピーマンの章(2章)、葉菜類のページ、などに有用成分がのっています。
第9回目
果樹園芸(1):果樹とは?果樹園芸の一般的特性とは何か?果樹は作物であり、花や野菜とは異なる側面を持つがそれは何か?などを詳述します。実際に果実を持参して話をします。花、野菜、に引き続き果樹を扱います。Bbをよく利用して分類、品種、果樹が他の園芸植物とどういう点で異なるか、理解してください。
第10回目
果樹園芸(2):果樹の特性について果実の構造、結実、成長と果実に含まれる諸物質、および糖代謝などについて詳述します。前回に引き続き、果実を持参して講義します。果実の形態分類と成長など、細かい部分については、板書しますので、Bbよりコピーした講義ノートをまとめておいてください。特に、繰り返し復習することを心がけてください。
第11回目
果樹園芸(3):果樹の特性について前回に引き続き各種果樹の特性を理解してください。実際に果実を持ち込んでお話をします。生活習慣病にならない方法を知っていますか?
第12回目
環境と園芸(1):園芸植物によるファイトリメディエーション室内環境汚染物質、ホルムアルデヒドを植物を使って除去する研究報告を紹介します(Phytoremediation)。環境と園芸とのかかわり合いを知っていますか?癒し(ヒーリング)、環境汚染物質を除去する、など環境に関わる園芸植物について理解しましょう。
第13回目
環境と園芸(2):ハーブと香り成分の機能性植物が分泌する芳香成分のシトラールは,抗菌作用の他,心の癒し(ヒーリング)効果,など様々な機能性を有しています.ここでは,ハーブ(センテッド・ゼラニウム)を使った研究を紹介します。香りの成分について,どれくらい興味・関心がありましたか?思い出してみてください.
第14回目
水草園芸:室内で水草、メダカを飼育・栽培する(アクアリウム)以前はどこにでもいたメダカは絶滅危惧種となり、環境変化に追い詰められています。園芸植物学分野では、全国各地から河川ごとに分けて飼育し植物、特に水草との関係を調査・研究していますので、その事例を述べます。アクアリウムとは何でしょうか?水草についても理解を深めてください。
第15回目
園芸植物の保護と環境との役割遺伝資源としての園芸植物とその保護について:園芸植物についての総括を行います。Key Word:これまでに解説をした多くの内容について、再度復習し、園芸植物への理解を深めてください。

教科書
教科書:野菜園芸学(文永堂出版) 生活と園芸(玉川大学出版部)
園芸植物は非常に多いので、教科書を1冊あげ勉強することは困難です。全体を網羅して
いる教科書的な本として、「野菜園芸学」(野菜に興味がなくても応用ができて読める専門書、高度であるがカラー版で読みやすいのでお奨め)、「生活と園芸」(全般を簡単に網羅しています)などは必ず購入してください。花き園芸学、果樹園芸はかなり専門的です。環境園芸は類書がなく教科書はないので私のオリジナルプリントで行います。
Bbにアップしたプリントを使って講義を進めますが、教科書も上記の2冊は必ず購入してください。各講義内容に合わせて随時、Bbに添付します。また、関連する本や実際に発表した論文も随時、紹介、配付します。
参考文献
花き園芸学(文永堂出版) 果樹園芸(文永堂出版)
これらは、参考文献として興味に応じて購入してください。
成績評価方法
まずは基礎力のアップ、さらに発展性のあるレベルまで広くかつ深く、一つの現象を多方面から学ぶことができているかを評価基準にします。出席率(学習意欲をみる)、レポート(復習や宿題をこなせるか)、その他への課題学習、最終試験を総合して評価します。出席だけ良くても合格とせず、全てを総合的に判断して評価します。
講義は教員の一方的なものでなく、当てて話をすることが多いのでその際には間違ってもいいので頑張って話した学生さんには当然、加点されます。
4回以上欠席したら、他の講義と同様、単位は取得できません(他の科目と同じ)。
そのほか受講者への指示/メッセージ
この講義で園芸植物全部を語り尽くすことは不可能です。したがって、私の分野で行われてきた研究やトピックス的なものを取り上げますが内容は極力片寄らないようにするつもりです。園芸学は非常に範囲が広範囲ですから、予習・復習は欠かさないようにしてください。1回ごとに講義内容はBbに掲載します。これをコピーして持参し「講義ノート」にしてください。講義は教員からの一方的な「解説」によるものだけではなく、疑問を投げかけるところから始まります。いつも黙って発言が無いようであれば問題ですから、間違っていてもいいのでしっかりと発言するよう努力することを望みます。なお、特に園芸植物に興味のある人には是非履修をお薦めします。大学院に進学を希望する人にも対応できる内容を盛り込みます。理解できなかった部分については、講義終了後に私に聞いてください。もちろん、講義時間以外でも質問に来られることを大歓迎します。なお、公務員を受ける方には講義中にKey Wordなどを話しますので、ノートにマークを御願いします。聞き逃すことのないようにしてください。

更新日:01/14/2008
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