授業計画 | テーマ | 内容 | 授業を受けるにあたって |
第1回目 | ガイダンス
インド・ヨーロッパ語族のイントロダクションおよびゲルマン語のあらまし
担当:宮澤 | <授業について>
<イントロダクション>
ヨーロッパの2大文明言語ギリシャ語とラテン語
インド・ヨーロッパ語族の発見
サンスクリット語と三蔵法師,
Schleicherの言語系統樹,Schmidtの波動説
Humboldtによる言語類型論
Grimmの法則,第1次子音推移 | ヨーロッパの地理、大まかな歴史を確認してことが望ましい。 |
第2回目 | ロマンス語のアウトライン
担当:宮澤 | <ローマの言葉とは?>
ローマ帝国の属州からヨーロッパの国家へ
中世ラテン語が君臨するヨーロッパ
イタリア語の成立:ダンテの登場
スペイン語の成立:大航海時代と言語の整備
フランス語の成立:ストラスブールの宣誓
辺境には古い語形が残る:ルーマニア語の特徴 | フランス語,イタリア語,スペイン語など本校で開講されている言語を履修したことのある学生は,今一度教科書等を開いてその言語を思い出しておこう。 |
第3回目 | ローマ的でないもの,民族の言葉
担当:宮澤 | <ローマ的でないものとは>
民族の言葉,スラヴ語,ゲルマン語
<ゲルマン語のあらまし>
ゲルマン語の分類,第2次子音推移
北ゲルマン語:Edda, Saga
東ゲルマン語:Wulfilaの聖書
西ゲルマン語:出土品,Otfried,Heliand
ゲルマン語の文字:ルーン文字,亀の甲文字
音声を聞きながら印欧語・ゲルマン語に親しむ。 | スラヴ民族,ゲルマン民族とは具体的にどんな人々をさすのか確認しておこう。 |
第4回目 | 標準語への道程(1)
ドイツ語の場合
担当:宮澤 | <ドイツ語の標準語成立史>
古期・中世ドイツ語時代には共通語があったのか?
古期ドイツ語を文書に残したのは誰?
ユダヤ人のドイツ語:イディッシュ語
ハンザ都市の公用語:ハンザドイツ語
ルターの聖書翻訳と国語教育
国語協会と外来語文法書と辞書の成立
作家による標準語の使用
Dudenと正書法,Siebsと発音辞典 | 中世までヨーロッパではラテン語がエリート階級の言語であり,大衆のことばは卑しい言語と見なされていたことを調べておこう。 |
第5回目 | 標準語への道程(2)
低地ドイツ語の場合
担当:宮澤 | <低地ドイツ語の標準語化>
オランダ語:ドイツ語からの独立
フリジア語:オランダ語からの独立
アフリカーンス語:クレオール語の誕生 | 政治と言語の接点こそが○○語を誕生させる原因になることを考えてみよう。 |
第6回目 | 方言と標準語のはざまで(1)
地域語の地位の確立
担当:宮澤 | <地域語としてのドイツ語>
ヨーロッパ言語憲章の成立
北ドイツ方言(Plattdeutsch):方言から地域語へ
アルザス語:国語は変わっても民族の言葉は不変
ヴォルガ・ドイツ語:入植,自治州成立,そして受難 | 自分の存在の証と母語の関係を考えてみよう。自分の母語が標準語と同一かどうか考えてみよう。 |
第7回目 | 方言と標準語のはざまで(2)
少数言語共同体の言語維持
担当:宮澤 | <少数言語のアイデンティティー・再洗礼派ドイツ語>
Pennsylvania Deitsh(ペンシルヴァニア・ドイツ語)
Plautdietsch(メノナイト派の低地ドイツ語)
ITによる言語の維持,保存
<まとめ>
3つの生活言語:国際語,国語,地域語 | 自分の日常語である方言を維持するためには何が必要か,自分の体験から考えてみよう。
自分が生活するのに一体いくつの方言,言語を使っているか考えてみよう。 |
第8回目 | ローマ帝国とゲルマン民族による侵略について
担当:小倉 | イングランドの原住民は最近ではケルト民族の一派であるといわれている。その後ローマ帝国の軍隊が侵入し,そして撤退する5世紀からヨーロッパ中世が始まる。その後ゲルマン民族であるアングロ・サクソン民族が襲来した後の王国建設とアルフレッド大王による統一が行われ、彼により英語の基語アングロ・サクソン語の基礎が築かれる。この歴史の中でケルト語・ラテン語そして英語の基礎であるアングロサクソン語がどのような言語であったかについての説明を行う。さらに10世紀に書かれたBeowulfについての説明。 | 予め渡しておくプリントとテキストのⅠを読んでくること |
第9回目 | 古英語(アングロ・サクソン語について)Ⅰ
担当:小倉 | 古英語史について(歴史、文学、語形成、語順などの説明。Beowulfの作品の音読・解説) | テキストのⅢを読んでくること |
第10回目 | 古英語(アングロ・サクソン語について)Ⅱ
担当:小倉 | 先週の続き | テキストのⅣを読んでくること |
第11回目 | 中英語(ノルマン・フランス支配の時代)Ⅰ
担当:小倉 | 中英語史について(歴史、語形成、語順などの説明)11世紀から13世紀の作品解説・音読 | テキストのⅦを読んでくること |
第12回目 | 中英語(ノルマン・フランス支配の時代)Ⅱ
担当:小倉 | 14世紀の作品について:英語の父、チョーサー(ChaucerのThe Canterbury Talesの音読・解説、英訳聖書などについて) | 第11回目に渡すプリントを読んでくること |
第13回目 | 中英語から近代英語へ
担当:小倉 | ヨーロッパ中世の終焉と近代の夜明け(母音大変移(Great
Vowel Shift)と英国ルネッサンスについて) | 第12回目に渡すプリントを読んでおくこと |
第14回目 | 近代英語,現代英語
担当:小倉 | Shakespeare言語とその後の英語について。
(綴りの固定、文法書の出版、ジョンソンの『英語辞典』とOxford English Dictionaryの出版。アメリカ英語、イギリス英語の違いについて) | 第13回目に渡すプリントを読んでおくこと |
第15回目 | 期末試験
担当:宮澤 | それぞれの担当者が期末問題を作成する。問題は60分で終了するように考慮しているので安心されたし。 | |
教科書 | 英語部分のみテキストを使う。 ハイナー・ギルマイスター著(小野茂訳)『英語史の基礎知識』開文社出版
(宮澤担当分については、自作のテキストを資料として配布する。) |
参考文献 | <ロマンス語>
山田秀夫『フランス語史』駿河台出版社
島岡茂『フランス語の歴史』大学書林
家島光一郎ほか『現代フランス語のできるまで』白水社
森本英夫『フランス語の社会学―フランス語史への誘い』駿河台出版社
ドーザ『フランス語発達小史』駿河台出版社
セルキリーニ『フランス語の誕生』白水社
風間喜代三『印欧語の故郷を探る』岩波新書
ヘルマン『俗ラテン語』白水社
カンプルー『ロマン諸語』白水社
島岡茂『ロマンス語の話』大学書林
ヴァルテール『西欧言語の歴史』藤原書店
<ゲルマン語>
石川光庸『古ザクセン語 ヘーリアント』大学書林
ウォルシュ『北欧語入門』北海道大学図書刊行会
古賀允洋『中高ドイツ語』大学書林
小島公一郎『ドイツ語史』大学書林
児玉仁士『フリジア語文法』大学書林
下宮忠雄『世界の言語と国のハンドブック』大学書林
シルト『図説ドイツ語の歴史』大修館書店
シュミット『ドイツ語の歴史』朝日出版社
新保雅浩『古高ドイツ語 オトフリートの福音書』大学書林
高橋輝和『古期ドイツ語』大学書林
B.C.ドナルドソン『オランダ語誌』現代書館
藤代幸一他『中世低地ドイツ語』大学書林
Brunner Jean-Jacqes: L'Alsacien sans peine. Assimil,Chennevieres-sur-Marne Cedex 2001
Donaldson, B. C.: A Grammar of Afrikaans. Mouton de Gluyter, Berlin/New York 1993
Haag, E.: A Pennsylvania German Reader and Grammar. Pennsylvania 1994
Haldeman, S. S.: Pennsylvania Dutch. Evolution Publishing Bristol 2003
Lindow, W. et al.: Niederdeutsche Grammatik. Schuster, Leer 1998
Ponelis, F.: The development of Afrikaans. Peter Lang, Frankfurt/M 1993
Sanders, W.: Sachsensprache, Hansesprache, Plattdeutsch. Vandenhoeck, Goettingen 1982
<英語>
市河三喜『古英語・中英語初歩』研究社
ハイナー・ギルマイスター『英語史の基礎知識』(小野茂訳)開文社出版
ジェリー・ノールズ『文化史的にみた英語史』開文社出版
H・コツィオル『英語史入門』(小野茂、恭子訳)南雲堂
K・ブルンナー『英語発達史』(松浪有他訳)大修館書店
唐澤一友『アングロ・サクソン文学史-韻文編』東信堂
唐澤一友『アングロ・サクソン文学史-散文編』東信堂
唐澤一友『多民族の国家イギリス-4つの切り口から英国史を知る』春風社
George Jack, Beowulf. Oxford UP, 1994. (A student edition)
Bruce Mitchell and Fred C. Robinson, A Guide to Old English. Blackwell
J.A. Burrow and Thorlac Turville-Petre, A Book of Middle English. Blackwell
Seth Lerer, Inventing Engurish-A Portable History of the Language. Columbia University Press.
Larry D. Benson et al ed., the Riverside Chaucer. Oxford University Press
Robert M. Correale and Mary Hamel,Sources and Analogues of the Canterbury Tales.
2 vols. D. S. Brewer. |
成績評価方法 | 試験+出席代わりの課題提出 |
そのほか受講者への指示/メッセージ | |