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行動の科学・人間性の科学

科目
行動の科学・人間性の科学
区分
人間学科科目群
授業コード
60065
開設セメスター
2S
曜日・時限
秋 金/78
単位数
2単位
担当者名
河野 哲也
授業の概要
本講義では、文化的多様性と人間の行動との関係性、そこから生まれる心理学的かつ倫理学的な問題について考察してゆきます。私たちは、どのようにすれば文化的に「異質な」他者を受容し、他者の権利を擁護することができるのでしょうか。マルチカルチャリズム、移民、ディアスポラなどの多文化社会の問題について考察してゆきます。
到達目標
(1)文化的多様性と人間の行動・人間性との関係性について学び、多文化社会が引き起こす心理的・倫理的問題に対処する方策について考察する。(2)自分で考え、自分で意見を表現できる力を身につけること。
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
イントロダクション 講義の概要、講義法、評価などの説明
第2回目
文化と人間の行動 文化行動の社会心理学、状況学習理論などを参考にしながら、人間の行動と文化について一般的な関係性を考察する。自分の行動の文化的な影響について考え、それを知るにはどうすればよいか考えてくること。
第3回目
多文化社会とは何か(1) 先進諸国における先住民運動、多言語運動(ベルギー・カナダ)、ディアスポラについて知り、カナダ、オーストラリアなど多文化主義を表明する社会の現状を見る。日本の多文化性について資料を集めて、考えてくること。
第4回目
多文化社会とは何か(2) テイラー他の議論を参照しながら、多文化社会と、19世紀型の国民国家、20世紀型の市民国家のあり方を比較し、考察する。提示されたミニ課題について考察してくること。
第5回目
カントの「歓待」の概念について テキスト、ベンハビブ著『他者の権利』1章を回読し、カントのコスモポリタニズムについて考察する。テキスト「他者の権利」の指定箇所を読んでくること。
第6回目
デリダ『歓待』 デリダの『歓待』で扱われている移民問題について考察する。配布プリントを読んで、提示された設問について考察してくること。
第7回目
アレントの「権利を持つ権利」(1) テキスト『他者の権利』2章を回読し、アレントの言う「国民国家(民族国家)」の矛盾について考察する。テキスト「他者の権利」の指定箇所を読んで、提示された設問について考えてくること。以下同じ。
第8回目
アレントの「権利を持つ権利」(2) 〃  〃
第9回目
移民のための『万民の法』(1)ロールズの『万民の法』を解説し、永久平和論、正しい戦争、外国人の人権について考察する。 〃
第10回目
移民のための『万民の法』(2)テキスト『他者の権利』3章を回読し、ロールズの性議論、移住権についての妥当性について検討する。  〃
第11回目
市民資格の変容テキスト『他者の権利』4章を回読し、ヨーロッパ連合における移民資格の変化がいかなる意味を持つか考える。バリバールの市民権の哲学についても説明する。 〃
第12回目
ローカルなもの、国家的なもの、グローバルなものテキスト『他者の権利』5章を回読し、ローカリティ、国家、グローバリズムのなかでどのように自分のアイデンティティを確保し、他者を受容するか考察します。 〃
第13回目
多文化社会における他者の受容ハーバーマスの『他者の受容』を解説し、多文化社会の倫理的な問題について考える。配布プリントを読んで、提示された設問について考察してくること。
第14回目
異文化と臨床異文化接触や受容がもたらす精神的なストレス、多文化社会における心理的な健康について考察する。配布プリントを読んで、提示された設問について考察してくること。
第15回目
まとめと考察

教科書
セイラ・ベンハビブ『他者の権利』法政大学出版局
参考文献
ヘールト・ホフステード『多文化世界』(有斐閣)、アンドレア・センプリーニ『多文化主義とは何か』(白水社)、ジョン・ロールズ『万民の法』(岩波書店)、ユルゲン・ハーバーマス『他者の受容』(法政大学出版)、エチエンヌ・バリバール『市民性の哲学』(青土社)、チャールズ・テイラー他『マルチカルチャリズム』(岩波書店)など。
成績評価方法
期末試験(ないしレポート)60%、平常点(出席と提出物)40%
そのほか受講者への指示/メッセージ
人間の行動に対する文化や社会の影響力、さまざまな人たちが集まる社会での倫理的・政治的・社会的問題に関心のある人を歓迎します。知識も特別の経験も要りませんが、やる気のある人がきてください。

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