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振動工学

科目
振動工学
区分
機械工学科科目群
授業コード
14114
開設セメスター
7S
曜日・時限
春 木/34
単位数
2単位
担当者名
鈴木 夏夫
授業の概要
振動工学の基本から,JABEE対応にいたるまで幅広い知識が身につくような内容とする。下位学年の機械力学に出てきた基本的な振動工学の内容を引き継ぐ形で出発するので機械力学を履修済みであることが望ましい。数学的には,線形代数および微積分の初歩の知識を仮定している。ただし、講義は初歩から始める予定である。
到達目標
静力学と動力学の意味と相違がわかること。自由振動と強制振動,強制振動と自励振動の意味と相違がわかること。過渡状態と定常状態の意味と相違がわかること。線形1自由度系の理論式の取扱ができるようになり,その解の物理的意味が理解できること。拘束と自由度の意味がわかること。固有振動数と振動モードの意味がわかること。線形振動系と非線形振動系の意味と相違がわかること。上記のように振動は観点により各種の用語が使用されるので,着目点によく注意して理解する必要がある。
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
準備(はじめに)
Prologue
1.1 振動学とは?
1.2 振動関係用語
1.3 振動の分類
1.4 補足(講義の進め方など)
身近な「振動」というとすぐに地震を思い出すことが多い。振動関係の用語として使われている言葉をまず思い出し、振動にはどのような種類のものがあるかを整理してみる。
第2回目
1自由度系の自由振動(1)
Free vibration of a single degree of freedom system (1)
2.1「自由度」と「振動系」
2.2 1自由度系の振動(非減衰)
2.3 固有振動数
拘束と自由度の概念をまず理解し,1自由度系の表現方法(モデル)について学習する。その1自由度系の振動として,自ら自由に振動している「自由振動」,入力が印加されてから定常状態にいたるまでの「過渡振動」,恒に外部から強制的に加振される「強制振動」の違いを理解する。また,振動系がもつ「固有の振動数」についての意味を理解する。強制振動の場合の「共振」現象を理解する。これはそのシステムが固有にもっている振動数と外力の振動数が一致したときに現れる。
第3回目
1自由度系の自由振動(2)
Free vibration of a single degrees of freedom system (2)
2.4 1自由度系の振動(減衰系)
2.5 固体摩擦と減衰振動
2.6 ばねと減衰器
減衰がある場合の振動の取扱と特徴について学習する。粘性減衰は速度に比例するが、一般の固体摩擦は取扱方法が異なり結果も異なることを理解する。振動が起こる原因のひとつとして「ばね(弾性)」要素があり、また振動を減衰させる要素として「減衰器(ダンパ)」がある。
第4回目
自励(じれい)振動
Self excited vibration
自励振動のビデオ,おもちゃの紹介1自由度系の振動が少しわかってきた段階で実際の振動現象をビデオで紹介する。内容は、強制振動との区別がつきにくい「自励振動」の例について実際におもちゃを動かし,また,ビデオで自励振動の例を紹介する。自励振動は,定常的なエネルギー(ポテンシャル)場と振動する要素がシステムに存在する場合に発生する。外部からの振動がなくても発生することが特徴である。
第5回目
1自由度系の強制振動(1)
Forced vibration of a single degrees of freedom sistem (1)
3.1 自由振動と強制振動
3.2 運動方程式
3.3 定常応答と共振特性
自由振動と強制振動の区別を外力の定常性と結び付けて理解する。次に運動方程式上の違いを理解する。
外力の振動数=振動系の固有振動数が共振(共鳴)の条件であることを理解する。
第6回目
1自由度系の強制振動(2)
Forced vibration of a single degrees of freedom sistem (2)
3.4 強制振動と仕事
3.5 振動の伝達
3.6 多重周期振動
振動系に対して外力がなす仕事の取扱方法を学ぶ。振動系は外部にどれだけの振動エネルギーを伝達するかを定義、表現し、その取扱方法について学習する。さらに、周期外力に対する取扱方法(フーリエ級数展開)を学習する。
第7回目
1自由度系の強制振動(3)
Forced vibration of a single degrees of freedom sistem (3)
3.6 多重周期振動(続)
3.7 定常応答と過渡応答
外力が非周期的な一般の時間関数の場合の取扱について学習する(フーリエ変換)。また、定常応答と外力が印加されてから定常状態に至るまでの過渡応答についてその取扱方法を学習する。
第8回目
多自由度系の振動(1)
Vibration of multi degrees of freedom system (1)
4.1 多自由度系
4.2 運動方程式
4.3 固有振動数と振動モード
2自由度以上の振動系の表現方法や取扱方法について学習する。多自由度系は一般に複数の固有振動数や振動モードをもつことを理解する。
第9回目
多自由度系の振動(2)
Vibration of multi degrees of freedom system (2)
4.4 自由振動解
4.5 モード座標とモードの直交性
4.6 強制振動解
自由振動を表す運動方程式から連立方程式を求める過程とその解が固有振動数となっていることを理解する。また、振動モードを基準にした取扱方法について学習する。強制振動解を求める方法を微分方程式の取扱方法との対応で理解する。
第10回目
多自由度系の振動(3)
Vibration of multi degrees of freedom system (3)
4.7 動吸振機
4.8 モーダルアナリシス
4.9 解析力学による取扱
多自由度系においては、可動物体の一部が他の可動物体の振動を吸収してくれることがある。これが動吸振機の原理である。実験モード解析と呼ばれる半解析的な振動の取扱手法について学習する。また、振動の運動を表す方程式をエネルギーの観点からみて解析する手法=ラグランジュの解析力学による運動方程式の導出技法について学習する。
第11回目
連続体の振動
Vibration of continuous media
5.1 2自由度から∽(無限大)自由度へ
5.2 棒の縦振動、ねじり振動
5.3 はりの曲げ振動(横振動)
5.4 平板の曲げ振動(横振動)
5.5 エネルギーによる考察
5.6 その他の連続体の振動
自由度が2から無限大に変化すると、振動を表す運動方程式も常微分方程式から偏微分方程式(波動方程式)に変化する。取り扱う(振動)物体は1次元的な「棒」や「はり」に限定して考える。2次元的な物体(平面状、曲面状の物体)や3次元的な物体も同様に拡張できる。縦振動と横振動の区別を学び、応答がどのように異なるかを学習する。自由度が無限大の場合には固有振動数も一般に無限個存在する。
第12回目
回転体の振動
Rotor dynamics
6.1 回転体をもつ機械と回転軸のふれまわり
6.2 回転軸のねじり振動
6.3 釣合わせと不釣合
機械の駆動源はエンジンやモータである場合が多いので回転体をもつ機械は非常に多い。これらの機械は危険速度と呼ばれる回転数で回転するとふれまわりの振幅が非常に大きくなって危険であり、その領域を回避して運転される。このような共振現象が起こる原因を考察し、また、その一因である不釣合を除去する方法などについて学習する。
第13回目
非線形振動
Nonlinear vibration
7.1 線形と非線形
7.2 自由振動
7.3 強制振動
7.4 連成振動
7.5 実際の機械システム
線形系と非線形系の違いを認識する。厳密には実在系はすべて非線形系であるが、近似できる場合には線形系で近似して産業に役立つ処置を行っている。運動方程式の変数がお互いに独立でなくなる場合には、振動が「連成」しているという。連成すると方程式の取扱が難しくなり計算機の援用が必要となる。
第14回目
不規則振動
Random vibration
8.1 不規則振動とは?
8.2 確率の基礎
8.3 相関関数とスペクトル
8.4 線形系の不規則振動
地震の波のように,時間(周波数)的にも,大きさ(振幅)的にも不規則な入力が加わる系の応答に関する考察を行う。このような応答を特に確率過程とよぶ。統計処理の目的に応じて各種の量が現れるが、その紹介と取扱方法を学習する。
第15回目
その他の話題
Other topics
9.1 振動の計測
9.2 振動の制御
9.3 機械の動的設計
地震の大きさ(マグニチュード)の計測や震源地の特定などのように振動には計測が重要である。また、不要な振動(機械の残留振動など)を速やかに低減する制御手法にはどのような方式があるかを学習する。さらに機械の設計にあたり、強度のみでなく運転速度や振動モードを考慮した動的な設計手法について概観する。

教科書
「JSMEテキストシリーズ 振動学」/日本機械学会編/丸善/\1,886(税抜)/2005.
ISBN4-88898-128-0 C3353 
参考文献
最初の講義、他随時紹介する。
成績評価方法
定期試験の成績。
そのほか受講者への指示/メッセージ
機械力学の講義を前もって受講していること。 前教科書:「ポイントを学ぶ 振動工学」および、この姉妹図書(現在絶版、図書室には配備)「例題で学ぶ 振動工学」(双方とも、鈴木浩平 編著、丸善)を副読本として薦める。

更新日:01/16/2006
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