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園芸植物学

科目
園芸植物学
区分
生物資源学科科目群
授業コード
53002
開設セメスター
2S
曜日・時限
秋 月/78
単位数
2単位
担当者名
田淵 俊人
授業の概要
花き(観賞植物)、野菜(ハーブを含む)、果樹などを含む園芸植物は、性質上、一般の農作物よりも集約的な生産技術の適用が必要であり(手間をかける)、生産物の取り扱いや加工技術には独特の技術が必要です(トマトジュースやピューレ、漬け物などへの利用)。その一方で、園芸植物は近年のいわゆるガーデニング・ブームによる花やハーブを使った癒し効果(ヒーリングやリラクゼーション)や、健康ブームによる野菜や果樹の有する機能性(人間の体内に入ることで生活習慣病を予防する)などの様々な価値観が生じて非常に注目されてきています。さらに、人工的な生活空間の中(室内など)で少しでも自然や緑を取り入れようとする自然回帰へのニーズ、環境汚染物質を除去する効果(ファイトレメディエーション)、より美しい花をいかに長もちさせるか、心の癒し(園芸療法、セラピー)など、栽培技術、育種、機能性、環境への影響など、さまざまなテーマを抱えた総合的な学問へと発展しています。そこで本講義では、まずさまざまの園芸植物について共通する種子の発芽から開花、結実までの「植物の生活環」を通してその時々に園芸植物を取り上げ、具体的な生産体系から機能性、その利用までを幅広く理解できるようにし、園芸植物がより身近なものとなるように展開したいと思います。
到達目標
さまざまな園芸植物の有する特徴を理解して、分類方法やその起原、他の作物との相違点、栽培方法、いわゆるバイオテクノロジー、機能性、環境問題への取り組み、地球環境や室内環境、園芸と文化、心の癒し等へ興味を持つこと、研究を行うための基礎を学ぶことを目的とします。漠然としたものでなく自分でしっかりと捉え、話すことができる学生になって欲しいと思います。このような考えを修得することは、単に暗記だけに頼る勉強法を脱却していくことでもあり、創造性豊かな新しい発想を有無きっかけになると考えています。
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
園芸学の由来と語源 まずはイントロダクションです。園芸の語源、由来、多様性と発達の歴史について学びますゲーテのクラインガルテンとは?
第2回目
園芸植物の分類 花、果樹、野菜の植物学的な分類方法、園芸的な分類方法について学名、リンネの命名法について理解しておいてください
第3回目
生活環(Life cycle) 園芸植物の生活環について(1年草と多年草)1年草と多年草の区別ができますか?
第4回目
種子とは?発芽と繁殖方法 種子の構造と発芽要因、および園芸植物の繁殖方法について学びます種子の発芽要因、休眠現象について理解していましたか?
第5回目
栄養成長1(根、地下部の成長) 根、塊茎の成長とその園芸的利用について学びます根の発育、構造、利用部位について理解しておいてください
第6回目
栄養成長2(茎葉の成長) 発芽とともに茎葉を展開して成長していきますが、その規則性、内部構造と利用法について学びます茎と葉の構造および利用部位、頂芽優勢
第7回目
生殖成長(花の構造と開花要因) 花の構造と開花要因について、光周性花の構造とその利用、開花要因
第8回目
受粉、受精と自家不和合性開花した後の受粉、受精のメカニズムと不和合性、人工受粉の意義花の受粉様式について知っていますか?
第9回目
花の老化現象と器官脱離花がしおれる、あるいは脱離するメカニズムとその成長調整物質の作用離層の形成、花持ち剤についてどの程度理解していましたか?
第10回目
果実の特徴と結実現象果実の構造、結実、成長と果実に含まれる諸物質、および糖代謝果実の形態分類と成長
第11回目
園芸植物の有する機能性物質カロチノイド系、アントシアニン系色素、お茶等の活性酸素除去効果について学びます生活習慣病にならない方法を知っていますか?
第12回目
環境と園芸1.園芸植物によるファイトリメディエーション室内環境汚染物質、ホルムアルデヒドを植物を使って除去する研究報告環境と園芸とのかかわり合いを知っていますか?
第13回目
環境と園芸2.耐塩性と耐干性耐塩性を有するガラパゴス諸島原産の野生種トマト、アンデスのトマトを紹介します野生種トマトの有用性
第14回目
メダカで園芸植物を救う(アクアリウム)以前はどこにでもいたメダカは絶滅危惧種となり、環境変化に追い詰められています。園芸植物学分野では、全国各地から河川ごとに分けて飼育し植物、特に水草との関係を調査・研究していますので、その事例を述べます。アクアリウムについて
第15回目
園芸植物の保護と環境との役割遺伝資源としての園芸植物とその保護についてKey Word:遺伝資源の保護

教科書
生活と園芸(玉川大学出版部)各自で購入のこと。また、各講義内容に合わせて随時、プリントを配付します。また、関連する本や実際に発表した論文も随時、紹介、配付します。
参考文献
随時講義中に配付します。
成績評価方法
まずは基礎力のアップ、さらに発展性のあるレベルまで広くかつ深く、一つの現象を多方面から学ぶことができているかを評価基準にします。出席率(学習意欲をみる)、レポート(復習や宿題をこなせるか)、その他への課題学習、最終試験を総合して評価します。出席だけ良くても合格とせず、全てを総合的に判断して評価します。
そのほか受講者への指示/メッセージ
この講義で園芸植物全部を語り尽くすことは不可能です。したがって、私の分野で行われてきた研究やトピックス的なものを取り上げますが内容は極力片寄らないようにするつもりです。園芸学は非常に範囲が広範囲ですから、予習・復習は欠かさないようにしてください。研究内容講義は教員からの一方的な講義によるのではなく、疑問を投げかけるところから始まります。いつも黙って発言が無いようであれば問題ですから、間違っていてもいいのでしっかりと発言するよう努力することを望みます。なお、特に園芸に興味のある人には是非履修をお薦めします。

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