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農薬化学I

科目
農薬化学I
区分
応用生物化学科科目群
授業コード
13558
開設セメスター
5S
曜日・時限
春 金/12
単位数
2単位
担当者名
石山 忠之
授業の概要
農薬は人類の食糧確保のために不可欠な薬剤であるにもかかわらず、昨今、そのマイナス面だけが誇張されている感がある。本講では、害虫防除を中心に、農薬を科学的立場から概観し、作物保護について学ぶと共に、毒とクスリとはどのようなものであるかについても考察する。なお、作物の病害防除と雑草防除は農薬化学IIで学ぶ。
到達目標
 本講義の到達目標は以下の3つのことを理解することにある。1・毒物とクスリの考え方を学ぶ。2・害虫も人も有する神経伝達系を学び、何故、害虫だけが防除されるのか、その理由を理解する。3・昆虫ホルモンやフェロモンによる害虫防除を学ぶ。以上3つの事柄を有機化学的そして生物化学的に理解し「選択毒性」の考え方を自分のものにすることが到達目標である。
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
毒物とクスリの考え方 この世の中に存在する物質で毒性のない物質は一つも無いし、閾値(一生涯摂取し続けても何ら影響ない値)の無い物質も無い。その中で何が毒物で何がクスリであろうか?
LD50値から毒性を理解する。
講義を受講する前に、自分なりに「毒とクスリ」とはどのような違いがあると思っているかを考えておいて下さい。
第2回目
毒性試験の色々 毒性試験には急性毒性、慢性毒性、催奇性試験、発癌性試験、魚毒性試験など人や環境に対しての影響を調べる多くの試験がある。
第3回目
農薬の安全性評価 農薬残留基準の決定毒性試験に関する講義はここまでです。本講義を受講後の「毒とクスリ」の考え方をまとめ、受講前の自分の考えた「毒とクスリ」とどのように考え方が変化したかをまとめると良いでしょう。
第4回目
神経伝達系を阻害する殺虫剤  人も害虫も神経伝達系の基本の機構は同じである。その神経伝達系を阻害する薬剤が、何故、害虫に毒性が高く哺乳類には毒性が低いのだろうか。神経伝達系の基本の機構をここで学ぶ。この時間で学ぶ「神経伝達の機構」は以下の5回にわたる講義の基本となるものである。この時間で学ぶ内容はしっかりと復習し、自分で、神経伝達機構を書き、説明できるよう努力してください。ここで、理解できていないと以下の講義内容についていくことが困難になるでしょう。
第5回目
アセチルコリン エステラーゼ阻害とはどのような作用なのか? 有機リン系殺虫剤の化学と神経伝達物質の関係前回学んだ「神経伝達機構」を基に、薬剤の化学構造と活性との関係を理解して下さい。
第6回目
ピレスロイド系化合物は蚊取り線香の殺虫成分として発見された。近年は蚊取りマットを使用するが、有効成分は農薬登録されたピレスロイド系化合物である。蚊取り線香(マット)を焚きながら、あるいは、洋服たんすの防虫剤を体に浴びながら、農薬に被爆していると思っているだろうか?
 作用機構と選択毒性を学ぶ。
同上、
第7回目
カーバメート系殺虫剤の化学とその作用
有機リン系殺虫剤と同じアセチルコリン エステラーゼ阻害であるが、どこが違っているのだろうか?
同上
第8回目
ニコチン系殺虫剤の化学とその作用
神経シナップスのアセチル コリン受容体にニコチンが作用すると、どのようになるのだろうか?
同上
第9回目
神経伝達を阻害する、その他の薬剤神経伝達系の阻害剤の講義はここまでです。次回からは全く異なる標的を攻撃する薬剤の話です。今までの内容をまとめることをすすめます。
第10回目
昆虫ホルモン剤による害虫防除昆虫のホルモン、JH(幼若ホルモン)とエクダイソン(成長・脱皮ホルモン)の働き。昆虫はこの2種類のホルモンを必要に応じ、生産したり分解したりすることで、正常な変態を行っている。昆虫ホルモンは昆虫独特の物質であり、害虫防除の標的として優れていると考えられる。ホルモン作用機構、ホルモンの生合成(生体内で合成される機構)を理解することで、その制御機構を知ることができる。
第11回目
JHやエクダイソンの働きを撹乱させ、害虫を防除する薬剤同上
第12回目
同上
第13回目
昆虫フェロモン剤による害虫防除昆虫フェロモンの代表は性フェロモンである。これを用いると、発生予察、大量誘殺、交信撹乱ができる。昆虫フェロモンは雌雄の交信、警報、道しるべ、など色々な機能を有する物質である。虫を殺すのではなく、交信を撹乱させることで害虫を防除する考え方を学ぶ。
第14回目
第15回目
殺ダニ剤やその他の害虫防除剤昆虫と異なるダニ類は殺虫剤とは違う薬剤で制御することを学ぶ。

教科書
農薬学/佐藤仁彦/朝倉書店
参考文献
成績評価方法
中間試験と期末試験による
そのほか受講者への指示/メッセージ

更新日:01/21/2004
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