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社会システム論

科目
社会システム論
区分
教育学科科目群
授業コード
56317
開設セメスター
6S
曜日・時限
秋 月/78
単位数
2単位
担当者名
大倉 健太郎
授業の概要
社会(成層)システムとは、さまざまな人々の間で構造化された格差や不平等のことを意味する。すなわち、格差や不平等は、日常生活の中のすべての場面に存在し、それがたとえ経済的な不平等を直接的に意味しなくても、男女の差、老若の差、人種の差、国籍の差、または技能の差や学歴の差においても顕著に表れ、格差を作りあげるシステムとして維持され続ける。
 とりわけ、80年代以降、冷戦が終結することで社会主義は衰退し、自由主義がより台頭することで、人々の間には横並びの意識より、「頑張った人にはそれなりの報賞を」といった競争意識が目立つようになった。日本の学校教育の場においても、総合学習より学力向上、週5日制の見直し、学校区の廃止、教育特区、教師のドラフト制度、教育支出に関するクーポン制(バウチャー制度)など、矢継ぎ早に「教育改革」が規制緩和と競争原理を導入するのは、学校教育が人々の間に格差を作ることに有効であるということを人々は理解しているからである。
 本講では、近年、2人の教育学者が交わしてきた議論をもとに、「学校教育は社会の成員間における平等を保証すべきか、それとも、個人の幸せに貢献すべきか」について考えていく。
 受講生は、予習と復習をきちんと行なうことが求められる。また、パワーポイントを使ったプレゼンテーションをしてもらう。
到達目標
議論の背景を理解するC
 議論の背景と流れを理解するB
 議論の背景と流れが学校改革の議論と結びつけられるA
 議論の背景と流れを学校改革の議論と結びつけ、教室での新たな試みに眼を向けられるS
授業計画
テーマ
内容
授業を受けるにあたって
第1回目
今日の教育改革(1) 平等と競争いわゆる「小泉構造改革」とはなにか、知っておく
第2回目
今日の教育改革(2) 公共性と市場公益と私益、どちらを優先すべきか、「郵政民営化」、健保の問題を知っておく
第3回目
藤田論(1) 教育の公共性と共同性教育における公共性とは、具体的になにか、考えておく
第4回目
藤田論(2) 教育における共同性とは、具体的になにか、考えておく
第5回目
藤田論(3) 教育における市場主義批判教育における市場主義とは、具体的になにか、考えておく
第6回目
藤田論(4) 藤田批判の目的はなにか、考えておく
第7回目
黒崎論(1) 学校選択教育における選択とは、具体的になにか、考えておく
第8回目
黒崎論(2)選択性と公共性のつながりを具体的のイメージしておく
第9回目
黒崎論(3)黒崎論の「選択」の意味を理解しておく
第10回目
黒崎論(4)「選択=複合概念」の意味を理解しておく
第11回目
藤田論vs黒崎論(1)両者の対立点を整理するこれまでの議論の流れを整理しておく
第12回目
藤田論vs黒崎論(2)対立に融和がありうるか、考える
第13回目
藤田論vs黒崎論(3)両者が想定している「格差」や「不平等」とは、なにか
第14回目
藤田論vs黒崎論(4)「格差」と「不平等」を、どのように考えたらよいか
第15回目
まとめと展望構造改革以降の学校教育と今後

教科書
プリントを使用する
1)藤田英典著、「教育の公共性と共同性」、森田ほか編『教育学年報2 学校=規
範と文化』、世織書房、1993年
2)黒崎勲著、「市場のなかの教育/教育のなかの市場」、森田、藤田、黒崎、片桐、
佐藤、編『教育学年報5 教育と市場』、世織書房、1996年
3)藤田英典著、「「教育における市場主義」批判」、藤田、黒崎、片桐、佐藤、編
『教育学年報6 教育史像の再構築』、世織書房、1997年、
4)黒崎勲著、「学校選択の理念と教育の公共性」、藤田、黒崎、片桐、佐藤、編『
教育学年報9 大学改革』、世織書房、2002年
5)黒崎勲著、「学校選択=複合的概念」、藤田、黒崎、片桐、佐藤、編『教育学年
報6 教育史像の再構築』、世織書房、1997年
参考文献
1)P.H.ターナー著・潮木訳、「教育における階層移動の形態」、『経済発展と教育
』、A.H. ハルゼー他編・清水訳、東京大学出版会、1966年
2)山村賢明著、「日本における社会移動の様式と学校」、『教育学研究全集・変動
する社会の教育』、石戸谷哲夫編著、第一法規、1971年
3)藤田英典著、「教育社会学におけるパラダイム転換論」、森田ほか編『教育学年
報1 教育研究の現在』世織書房、1992年
4)堀尾輝久著、『現代教育の思想と構造』、岩波書店、1995年
5)小玉重夫著、『教育改革と公共性-ボウルズ=ギンタスからハンナ・アレントへ
』、東京大学出版会、1999年
6)黒崎勲「学校選択の理念と教育の公共性」 藤田、黒崎、片桐、佐藤、編『教育
学年報9 大学改革』、世織書房、2002年
成績評価方法
中間テスト35%;期末テスト35%;授業参加点(リアクションペーパー、プレゼンテーションなど)30%
そのほか受講者への指示/メッセージ

更新日:02/09/2004
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