授業計画 | テーマ | 内容 | 授業を受けるにあたって |
第1回目 | 感染症防除の歴史的背景とクスリの考え方。特に選択毒性 | 抗生物質発見までの歴史。今、感染症に罹った時、当たり前のように使用される抗生物質は実用化されてまだ50~60年しかならない。 | 農学部で何故、医薬である抗生物質を学ぶか疑問を感じる諸君も多いのではないでしょうか。それは、農学部発展のこれまでの歴史を考えれば理解できるでしょう。
|
第2回目 | 〃 | 近代の感染症薬として初めて開発されたサルファ剤(これは合成薬で抗生物質ではない)を例に、その作用機構を講義する。生命現象の基本は人も微生物もほとんど同じである。では何故、細菌感染症薬サルファ剤は細菌を殺すのに人には害が無いのだろうか?これが「選択毒性」の考え方の基本になった。 | 農学部は作物をいかに効率良く生産できるかを研究する学問としてスタートしました。その後、大正から昭和初期のころから農産物利用学が盛んに研究され、食品製造学のような領域に発展していったのです。日本独特な食品、嗜好品は味噌、醤油、納豆、日本酒など多岐にわたった発酵製品がありますが、この事が、発酵化学分野の学問が新たに登場、さらに応用微生物学へと発展した経緯なのです。
|
第3回目 | β-ラクタム系抗生物質(ペニシリン、セファロスポリン類) | ペニシリンはあまりにも有名なクスリである。では、このβ-ラクタム抗生物質とはどのような物質か? そして、その作用機構は? ここにも「選択毒性」の秘密があった。 | 抗生物質は微生物の発酵で得られる物質で、農学部の最も得意の微生物を応用する分野の一つであり、農学系を学んだ多くの研究者達が新しい抗生物質の発見・開発の成果をあげているのです。
|
第4回目 | 〃 | 同一薬剤を連続して用いると、すぐに耐性菌が出現する。耐性菌出現はどのような機構でおこるのか?また、耐性菌を防除する薬剤の開発はどのような考えで行われるのか? | 以上のような農学部の学問発展の経緯から「生理活性天然物化学」の講義名で、微生物の生産するクスリ、即ち、抗生物質のような医薬を中心に開講する予定である。 |
第5回目 | 〃 | 糸状菌の代謝産物と思われていたβ-ラクタム系抗生物質が新しい手法で放線菌から発見されるようになった。新しいβ-ラクタム系抗生物質の特徴はどのようなものであったか? | |
第6回目 | アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシンなど) | 肺結核の特効薬として発見されたストレプトマイシン。このアミノグリコシド系抗生物質とはどのようなものか? そして、その作用機構は? | |
第7回目 | 〃 | アミノグリコシド抗生物質に耐性を示す病原菌もたやすく出現する。この出現の機構はどのようなものであろうか? | |
第8回目 | 〃 | アミノグリコシド抗生物質の耐性菌を制御する抗生物質の開発について。 | |
第9回目 | ポリケチド生合成系で作られる抗生物質 | 多くの種類の病原細菌に有効なテトラサイクリン類、癌の治療で用いられているアンスラサイクリン類、細菌や糸状菌に有効なマクロライド類などは、化学構造は大きく異なっているが、全て「ポリケチドの生合成系」で作られる。これらの生合成について学ぶ。また、テトラサイクリン類の作用機構も講義する。 | |
第10回目 | 〃 | アンスラサイクリン類の癌細胞に対する作用機構。 | |
第11回目 | その他の抗生物質の化学と生理活性作用 | 核酸系、ポリエンマクロライド、その他、多種多様な抗生物質。
発ガン機構とその細胞を制御する制ガン抗生物質、など | |
第12回目 | 〃 | 〃 | |
第13回目 | 〃 | 〃 | |
第14回目 | 免疫系とその系を制御する薬剤 | 人が本来持っている免疫系とはどのようなものであるか。また、その制御は、何に役立つのか。免疫賦活剤=制ガン剤、免疫抑制剤=臓器移植で使われる抗生物質 | |
第15回目 | 〃 | 〃 | |