授業計画 | テーマ | 内容 | 授業を受けるにあたって |
第1回目 | 種子とは何か? | 一般に「種子(しゅし、タネ)」といってもさまざまな形態をしています。特殊な構造をしているものも多々見受けられます。このような種子の構造はどうして決まるのか、遺伝的要因、環境要因から考えていきます。 | 第1回目の講義ですので、植物発育生理学の全講義の流れを紹介しながら進めていきます。まずは大学の講義に早く慣れて戴きたいと思います。 |
第2回目 | 種子の構造と発芽-発芽とはどういうことか?(その1) | 種子の発芽は、植物の生命活動の第一歩です。種子が発芽する外的・内的な要因について、実例をあげながらしっかりと説明ができるようにします(Key Word:水分、温度、空気、明発芽種子、暗発芽種子)。 | 種子の発芽現象は、単純なものではありません。発芽能力があるかどうか、これは園芸学、作物学上も重要な問題となっています。発芽現象の概要をよく理解してください。 |
第3回目 | 種子の発芽(その2) | 種子の発芽のメカニズムについて、種子内での物質代謝が伴います。種子の休眠現象、発芽に至るまで植物ホルモンの働き、酵素活性の変化、物質代謝などを総合して詳細に理解できるようにします。(Key Word:植物ホルモン、休眠現象、酵素活性の変化) | 種子発芽のメカニズムについて、詳細に解説します。内容がやや難しくなってきますので、講義中に予習・復習をする部分を述べますから、怠らないようにしてください。 |
第4回目 | 根の発達-根の構造とその発育とは? | 根の発育は、以外に知られていないことですが、植物の生長と発育を考えた場合、根の生育の良否が植物の生長を左右するといっても過言ではありません。本講義では、根の構造、その発達について形態的に考えながら、物質の吸収のメカニズムについて理解していきます(Key Word:主根、側根、ひげ根、根毛)。 | 根についての講義、というと少し地味に感じるかもしれませんが、例えば鉢植えの植物がうまく育っているかどうかは、根で判断することが多いものです。「水やり3年」とはどういうことなのか、良く考えてみましょう。 |
第5回目 | 茎の発育-茎の構造と通導組織について | 植物が地上部に向かって発育して発育する。もっとも目立つ組織が茎です。茎にはさまざまな役割がありますが、まずは地上部の組織が発育する現象を考えていきます。(Key Word:主茎、側枝、通導組織、茎頂分裂組織、頂芽優勢) | 茎の構造とはどのようなものか、生長と発育には、どのような環境要因が伴っているのか、考えながらの講義になります。 |
第6回目 | 葉の展開-葉とは何なのか? | 植物の光合成器官を含んでいる葉は、さまざまな営みをしています。本講義では、まず葉とは何か、その役割について全般的な解説をします(Key Word:単子葉類の葉、双子葉類の葉、葉の付き方)。 | 葉はさまざまな形をしていますが、なぜでしょうか?どうして茎に付着しているのでしょうか?外から見た葉の特徴をしっかりとおさえておきましょう。 |
第7回目 | 葉の構造とその役割-光合成とは? | 葉の役割は光合成です。そのメカニズムについての概要をまず理解していきます。葉の構造(葉肉構造)についても解説します(Key Word:葉緑体、クロロフィル、光合成、C3、C4植物)。 | 葉の内部構造、光合成のしくみは、今後の講義においても幾度か出てくる大変重要なテーマの一つです。本講義はその基礎となりますから、その都度の予習・復習を欠かさないようにしてください。 |
第8回目 | 花とは何か? | 花が咲く、といえば詩や歌にも登場する、誰でも興味のある分野の一つであり、目立つものでしょう。ここでは、まず花の構造やそのしくみについてまず述べます(Key Word:単性花、両性花、花序)。 | 花の外部形態を把握しますが、その前に!花を見せられた時、その植物の名前が言えますか?ここから始まります。何度も花屋さんに足を運んでください。 |
第9回目 | なぜ花は咲くのか? | 花が咲くメカニズムは良くわかっていませんが、どうして茎葉を展開して生長していた植物が開花するようになるのか、その要因について主に環境要因について考えてみましょう(Key Word:長日植物、短日植物、日長、温度、開花調節、形態的特徴)。 | 開花メカニズムは非常に複雑で不明の点が多いのですが、我々はこの恩恵にあやかって1年を通して花を購入することができるのです。この講義で開花のメカニズムを知っておくことで、農学部の学生らしい知識を身に付けて欲しいと思います。 |
第10回目 | 花が咲く本当の理由は? | 花は人間が見るために咲くのではありません。受精、受粉を通して子孫を残す生物学的に重要な役割を担っています。ここでは、花粉の媒介、受粉と受精のメカニズムについて考えていきましょう(Key Word:受粉、受精、和合性と不和合性)。 | 花が咲く本当の理由?わかっているようで、わかっていない人が多いと思います。例えば、モモなど果樹栽培では受粉が必要ですが、どうしてなのか、確実に理解していきましょう。 |
第11回目 | 果実の形成-果実とは? | 開花、受粉・受精が行われれば、果実が発達します。果実にはさまざまな形態をしたものがありますので、この講義ではまず、果実とは何か、理解していきます(Key Word:真果、偽果、集合果、単為結果)。 | 日常、何気なく食している果実ですが、植物学的に形態をしっかり覚えておく必要があります。いったい、植物学的にはどのように発達したものを食べているのか?果物屋さんに足を運び、または食卓に並ぶ果実を良く見る訓練をしてください。 |
第12回目 | 果実の成熟-果実の食べ頃とは? | 果実は発達すると、やがて成熟して食べられるようになります。食べられるようになった果実とは、生理学的にどういう果実をいうのか?このあたりの講義では各自で、自分なりにストーリーができるようになってきていることと思いますので、理解しつつ考えてみましょう(Key Word:果実の成熟、植物ホルモン、成熟関連酵素)。 | 果実が成熟することは、生理学的にはどういうことか、種子が成熟することと関連づけていく必要があります。漠然として「ただ食べる」のではなく、理解する必要があります。なお、この部分は「おいしさ」とは何?という概念に繋がる重要な部分で農学的にも極めて重要なテーマです。 |
第13回目 | 植物ホルモンとは何か? | 植物は自ら動いていくことはできないので、成長と発達は植物ホルモンによっている部分があります。高等学校で学んだ以上に植物ホルモンの成す重要な役割について詳述します(Key Word:各種の植物ホルモン、作用メカニズム)。 | このシラバスを読んでいる諸君は、今すぐに植物ホルモンの名が言えますか?どのような作用をしているか、とっさに浮かんできますか?これは最低限必要なことなので、この講義までには覚えておくようにしてください。 |
第14回目 | 植物ホルモンの利用-農学的な利用方法について知る | 植物ホルモンは、農学、特に園芸分野ではその利用は欠かせないものとなっています。極めて重要なテーマといえるでしょう。本講義では、その利用の実際例を解説します(Key Word:各種の植物ホルモン、作用メカニズム、利用部位)。 | 植物ホルモンの名称と、その作用を理解したならば、さっそく応用してみたくなる、これは自然な考えです。この分野は日進月歩で常に世界中で研究がなされていますから、前回の作用メカニズムと合わせて、どうしてこういう利用方法をするのか、といった部分に踏み込んで考えて欲しいと思います。 |
第15回目 | 近年の植物発育・生理におけるトピックスの紹介とそのディスカッション | これまでに行ってきた講義で、植物の生長と発育の概略が理解できているか、実際の論文にあたって試してみましょう。 | ここまでくると、一生懸命に勉強された皆さんであれば、少なからず植物に対する興味や関心はできているはずです。この講義では、今までに得られた知識、考えを応用して、「より深く考え、展開していく」能力を養ってください。 |