授業の概要 | 古くて新しい哲学の議論の中から、道徳の基礎をめぐる問題を受講者と共に考えていく。まず「他人の痛みがわかる人になりなさい」という見解を取り上げ、他人の心をめぐる問題について考える。私は他人ではない以上、相手の痛みは未来永劫わからないのではないか。次に道徳の黄金律(「自分がしてほしくないことを人にしてはならない」)に潜む自他の対称性という前提を検討する。学期を通じて「実際には他者に迷惑をかけているかもしれないが、自分はかけていないと思っているから問題はない」といった見解にどこまで踏み込んでいけるか探っていきたい。 |