授業の概要 | 植物の病気はウイルス,細菌,菌類などの病原体によってひき起こされ,農業生産や生態環境を著しく損なうことによって,人類の生存と地球の環境を脅かす。病原体と植物とは,病原体側が各種の攻撃手段を,植物側がそれらの防御手段を,それぞれ競争的に進化させてきたが,最近の分子生物学や遺伝子工学の進歩は,このような植物-病原体間の相互作用を,分子レベル,遺伝子レベルでとらえることを可能にした。
そこで,本講義では,主として各種の植物病原体の病原性遺伝子ならびに宿主植物の抵抗性遺伝子について,それらの構造と機能ならびに発現制御機構に関する分子植物病理学的研究の現状を概説するとともに,最新の関係文献を渉猟することによって,植物の病気の感染・発病の分子機構について理解を深めるとともに,バイオテクノロジーを応用した病害抵抗性トランスジェニック植物の開発に関する最近の研究動向等についても知識を深め,病害防除のための新たな分子戦略の可能性を探る。 |