検索 検索トップページ トップページ担当別50音一覧 担当別50音一覧

量子ネットワーク工学特論

科目
量子ネットワーク工学特論
区分
電子情報工学専攻
授業コード
42313
開講期
曜日・時限
春 金/34
単位数
2単位
担当者名
大崎 正雄
授業の概要
 現在,利用されている通信システムは情報源自体が0と1で表される古典情報源であり,それを古典力学で記述される通信路を用いて伝送し,再び古典情報に戻している。その一方で量子力学で記述される量子通信路を用いた古典情報伝送や,量子コンピュータ等の新しい概念に不可欠な量子情報を伝送するための通信システムが注目を集めている。そこで本講義は最先端の概念である量子力学に基づいて構築される通信・ネットワークシステムの理解を目的とする。始めに古典情報を量子状態で伝送するシステムの量子力学的記述を理解し,続いて量子状態そのものを情報として捉え,伝送する量子テレポーテーションの概念を習得する。また量子稠密符号化についてもその原理を理解する。
到達目標
量子力学に従う媒体での古典情報伝送や,量子状態そのものを情報として扱う量子情報の基礎を身につける.それによって量子コンピューターなど,より本格的な量子情報の分野に踏み出すための基礎概念の構築を目標とする.
授業計画
テーマ
内容
第1回目
ガイダンス 講義の進め方,講義で用いる資料の説明を行う.
第2回目
通信システムのモデル 従来の通信システムを数学的に取り扱うための基礎を学び,そこから量子通信システムへの拡張を行う.
第3回目
量子通信システムに必要な数学的基礎 ヒルベルト空間のベクトル,作用素を線形代数に対応させながらそれらの基本的な性質と取り扱いを身につける.
第4回目
数学的モデルと物理的対応 前回までに行った量子通信システムの数学的記述において,具体的な物理現象との対応を理解する.
第5回目
従来の信号検出理論 受信機において,或る評価関数を最適化する信号検出理論の仕組みを理解する.
第6回目
量子論的定式化 従来の信号検出理論を量子通信システムに応用し,その定式化を理解する.
第7回目
量子最適検出と標準量子限界 信号検出理論の量子力学的記述によって,従来の信号検出理論の限界と,それを越えることの意味を理解する.
第8回目
最適決定作用素の具体的導出(I)量子信号検出理論に基づいた2元信号の最適決定作用素導出を具体的に示す.
第9回目
最適決定作用素の具体的導出(II)量子信号検出理論に基づいて,幾つかの具体的信号系に対する最適決定作用素の導出を行う.
第10回目
その他の決定作用素導出方法最適決定作用素の導出方法として,数値解析などに適した手法や,信号系に或る対象性が存在した場合の手法を示す.
第11回目
量子テレポーテーション量子状態を情報として取り扱い,その伝送方法として知られている量子テレポーテーションの仕組みを理解する.
第12回目
量子稠密符号化量子力学的性質を用いた効率的な古典信号伝送である,量子稠密符号化の仕組みを理解する.
第13回目
基本定理の証明(I)量子信号検出理論における基本定理(量子ベイズ決定規範による必要十分条件)の証明を行う.
第14回目
基本定理の証明(II)量子信号検出理論における基本定理(Helstromの補助定理,Kennedyの補助定理)の証明を行う.
第15回目
基本定理の証明(III)量子信号検出理論における基本定理(Square-Root-Detectionの測定量子状態の性質)の証明を行う.

使用テキスト
講義の最初に指示をする.
参考文献
C.W.Helstrom, Quantum detection and estimation theory, Academic press, New York, 1976.
成績評価方法
出席,ならびに期末のレポートによって評価する.

更新日:12/25/2006
検索トップページ担当別50音一覧