授業の概要 | 哲学が提供するものは多種に及び,思考・論理・推理の形成からはじまって,人間自体のみならず,人間に関わる諸問題の設定と解明そしてその根拠と構造,意味・価値の規定にまで渉っている。これらのことについて概略をなぞりながら,人間存在が関わる諸問題を現実生活の中で確認し,人間のあるべき姿,人間のもつべき態度をその自覚的次元のもとに位置づけて明らかにしていく。特に,自覚の哲学としての西田哲学における自己の自覚的発展の道程を辿ってみる。「純粋経験」から「場所」への転回,そして「歴史的実在の世界への具体化」,非連続の連続,行為的直観,絶対矛盾の自己同一への深化,逆対応を通しての宗教的世界への貫通といった西田哲学体系のもつ精神生命に触れることがこの演習での基本的な課題である。 |